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2008年7月25日 (金)

或いはマジックアワーの如く

貧しい親娘にとって、火曜日は週に一度のご馳走の日。
「いつも朝はひとかけらのパン、夕食は塩とジャガイモだけ、でも今日は!」

現在の日本に生きる僕らにとってはなかなか想像しにくいこと。
薄い小麦のクレープに焼きリンゴが加わっただけで世界が変わっちゃうほどのご馳走に、どうして感じられましょう。
でも、それだけで、いつもの部屋は金色に輝き、いつもの鍋もフライパンもはしゃいで笑い声をあげ、焦らしながら焦らしながらその時間を噛みしめる。

子供の頃、まだ母が家にいた頃、おやつは母の手作りがほとんどだった。(今思うと、なんと貴重なこと!)
だから、チョコレートが食べられるなんて年に数えるほど。
そりゃあ飛び上るほどに美味しかった!

その頃は、見ること・聴くこと・触れること・その感じる全て・が初めてのことで、それを体中で理解していたので、世界の感動はいつも新鮮に素直に心に届いた。
だが年を重ねるごとに、「人生に、同じ出来事など一つもない」・・・そんな抹香臭い言葉さえ幾度も唱えねばならないほど、蓄積された知識と経験がその目を曇らせていく。

ちょっと手を伸ばせば何でも手に入る。
求めて欲して望んで、それでもなかなか手に入らなかったものが今は手に入る。
だから、忘れてやしませんか?
ささやかな喜びへの、小さな出来事への、素直な感動を。

ねえ、今そこで音楽ができていることは奇跡の一つなんですよ。
きっと、運命が用意してくれたテーブルなんです。
味わいましょう。
それは間違いなく、貴重なご馳走なんですから。

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