暗譜
「友さんっていつも暗譜で指揮をするのですね。大変ですね」
と時々言われる。
そう、僕は大概の場合暗譜で指揮をする。
暗譜がカッコイイ!と思っているわけでは決してなく、得意なわけでもない。
ただ、譜面を熟読すれば自然に暗譜してしまうし、逆に言えば暗譜するぐらい読めていなければリハーサルも本番も上手くいく気がしない。
それと、何よりスコアをめくるのがとっても下手なのだ。
せっかく音楽がいい流れなのにスコアをめくるために左手を動かしたおかげで台無しにしてしまったこともある。
その「譜面をめくる」と言う事務的動作で、奏者に余計な反応をさせてしまうこともある。
めくりに失敗してページを飛ばしてしまい、聴取の皆さんに悟られぬように巻き戻したこともある。(しっかりばれていたが…)
オペラやミュージカルは違う。
不測の事態に備える意味もあり、一応譜面は指揮台に置いておく。
かの岩城宏之先生は「フォトコピーをするように譜面を頭に写し込む」とエッセイで書いておられた。
僕はどうやらそうではないようで、言わば詩を暗誦するような、或いはストーリーのある絵画を記憶していくような感覚、とでも言おうか…
どんな変拍子の曲だろうが現代曲だろうが長かろうが、そこに音楽の必然があれば暗譜するのは難しいことではない。
ところが、短い曲だとしても音の並び達に理由や魅力を感じないと全然頭に入ってこない。
失礼を恐れずに言えば、「良い曲・魅力のある曲は自然に心に残り、そうでない曲はそれなりに…」と言うことだと思う。
もちろん、“好み”も含めて極めて主観的な話だが。
時々、例外もある。
どうやら僕の中で「うまく記憶装置とかみ合わない曲」っていうのもあるらしい。
そんな「大好きで、素晴らしい曲なのに暗譜に苦労する曲」今のところのBEST3は…
ベートーヴェンの交響曲第7番
バルトークの舞踏組曲
伊福部昭のシンフォニア・タプカーラ
どれも昔から大好きな、複雑な部分の少ないむしろポピュラーな名曲なのに…
共通点を探してみると…ああ、舞曲の要素が強い!
それもグランドオスティナートの感が強い。(舞踏組曲はちょっと違うけれど…)
そのあたりにも理由があるのかな?
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コメント
この前の友さんの指揮はとても魅力的でしたよ。
というか指揮する前の姿勢からもう目がくぎ付けで、ずーっと見てました(笑
すごくカッコよかったです
いつか友さんの指揮で演奏してみたいですな。。
投稿: 桜 | 2009年8月 9日 (日) 16時33分