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2010年4月23日 (金)

迷走するサラバンド…続②

(B)
直接的で直線的な要素の多い急速部において、最初に出てくるespress.のサラバンドの主題。この主題の印象をここではっきりオーディエンスに印象付けたい。ので、この2小節間ははっきりバランスをとります。全体的に、記譜されているmp,mfよりもかなり落として演奏しています。また、せっかくビブラートの効果の高い楽器が主旋律なので十分に(ビブラートを)効かせたいところですが全体の、あるいはこのセクションの構成を考えるとあまり濃い歌い方はできない、と考えてかなり控えめな淡い印象の2小節にします。
3小節目へのつなぎでSax.Eup.がcresc.をかけすぎると3小節目からのトゥッティ感が損なわれます。すなわち、他の楽器が追いついてきたのに逃げちゃう感じになって一体感が出ないのです。3小節目ではっきりトゥッティ感が出るように調整しています。
以降は、3小節目mf-、4小節目mf+、5小節目f、そのまま4小節目のffまでつながったcresc.でブレイクを強調する、のが基本的な作りです。この4小節間はcresc.の後に音量を落とすことなく上げていきます。一回落とすスタイルのcresc.を繰り返すと“うねり”が生まれてしまい、ブレイク感が薄くなります。ということは(C)の効果も半減するわけです。Trbn2,3の3小節目5拍めにもcresc.を使います。

(C)
3つの掛け合いメロディは強いespress.を出します。多めのcresc.でアクセントの付いた16分音符を強調するのです。もちろんtenutoも付けて苦悩するようなうねりを出します。
この4小節間の和音は二つの違う和音とも言えますが、構成音はまったく同じです。その中でメロディ群は2度上行しています。当然緊張感は増すのですが僕は音量は変化させません。この後に続く部分が混沌としてしまい新鮮味が薄れるからです。
4小節目の木管群はmfからfまでcresc.し、4拍目で再びmfからfまでcresc.します。一見するとcresc.の応酬の小節に見えるかもしれませんが、違います。4小節目3拍目の頭までが前半で、3拍目からは後半に入ります。
2小節目と、4小節目の前半を同じように強調するためには4小節目のHrn.にもcresc.がほしいところ。僕ははっきりcresc.で演奏してもらっています。で、3拍目では頭からsub.mfに落とします。この二つの役割のクロスオーバーがあるために作曲者はHrn.にcresc.を書かなかったのでしょうが、やってみる価値はあります。また、Fl.Ob.Es.Cla.のスラーは3,4小節ともつなげています。
4小節目3拍目は、楽器構成がガラッと変わるので音量に関係なく唐突な変化が生まれます。つまり、音量のつながりを考慮する必要はまったくないのです。むしろかなり抑えた音量で、輪郭をくっきりさせることに集中する必要があります。しかし、流れ・テンポ感のつながりは十分に考慮する必要があります。16分音符の塊毎に音符が詰まる傾向にあり、また入りが遅くなる傾向も強いので流れとしての16分音符の動きがつながることは重要です。
5小節目の小さなcresc.は1回ごとに音量を戻し、しかし毎回少しずつ大きく始めて大きいところに到達するように、つまりcresc.の応酬を聞かせ、尚且つ5,6小節全体でもcresc.になっているように聴かせるのです。
6小節目3~5拍目の16分音符上行形の毎拍cresc.もできれば顕わにしたいところ。(D)の頭へのアプローチは(C)の頭と同じく絞り出すようなつながりを作ります。
僕はincalorireにも少しテンポアップのニュアンスを伴わせます。accel.の表記からだけではなかなかうまくいきません。しかし、ほんの少し匂わすだけで十分。
5小節目に現れる高音木管のモチーフは長さが段階的に短くなっていくのを利用してストレットをかけます。ウラにtenutoが付いていますが、むしろ拍頭に付けるようにしています。一番短く鋭いところ(5回目のモチーフ)ではTrp.とHrn.は長い音符になります。僕はここにも(A)の4小節目でつけたようなfpを付けて強調しています。

まだ続く…

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