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2010年4月27日 (火)

迷走するサラバンド…続③

(D)
テンポを戻して再びAgitatoです。このAgitatoにはやはりたたみかけるような、追い立てるような切迫感が必要だと考えます。しかしテンポを上げていくとかえって全体の面白味が減ってしまいます。刺繍音を使ったモチーフと音階の旋律は使われておらず、(A)の発展した形です。
この部分はとても面白く、そして難しいですね。高音木管とTrp.に現れるAgitatoの主旋律は16分音符をしっかり聴かせてそれ以外をしっかり落とし、リズム形の金管や打楽器とのアンサンブルを大切にしたほうが(A)との整合もとれるし効果が際立つと思います。そしてその短い音形の隙間を埋めるかのようなサラバンドのメロディ。それと新しい彩りとしての2,4小節目に現れるHrn.Trb.の音形。これらを整理するのにはちょっと工夫と説得力が必要です。
それぞれのパートが持っている要素の音楽的意味をどう関連付け、どう切り離すか、と言う事です。僕は「解釈」という言葉があまり好きではありません。「解釈」という言葉に逃げない、音楽の必然をもとに様々な楽譜を読み解き音にしてきたのが僕のやり方ですから。でも、この部分にはまさに解釈の自由がかなりあると思います。
僕は、(A)と同じ要素については同じ扱いで、すなわち、各パートの要素は互いに関係は持つものの完全は融合はしない、としてバランスをとります。サラバンドのメロディは既出のものと同じく、楽譜通りの抑揚です。これに対して他の要素も2,3小節目にまたがる抑揚をかけると対比が見えにくいと思うので高音木管とHrn.の1,3小節目のcresc.は減らしています。特に木管高音は(A)で現れたのと同じ、fp的な演奏にしています。それに合わせて2,4小節目のTrp.の開始音はかなり抑えた音で、3,5小節目の頭は大きめに鋭く演奏しています。そうすることで(A)の音楽とサラバンドのメロディとのコントラストがはっきりします。
全体としては1,2小節より3,4小節のほうが大きくなるように発展させます。その際に2,4小節目のHrn.Trb.をわずかにcresc.させるのもやってみたら効果的でした。しかし、このパートはあえてcresc.で煽り立てず、ストイックに音量をあげたほうが僕は他との差別化ができて好きです。
5小節目も同じ形で入ります。木管高音、A.sax. Trp.2,3 S.D.もカッチリ落とします。とは言え、Perc. Trb. Tub. C.b. も共に、極端に落とすと効果は抜群なのですが(D)全体、曲全体としてみると直情的すぎてNG。前4小節の音量・バランスに留意して、ここで極端な強調をせずとも(E)への前半のカタルシスが表現できるようにするべきでしょう。

極端な表現が好まれるコンクールの場面では「短いスパンの表現になろうともその場面ごとの効果を強調する」ほうが絶対に有利だと思います。しかし曲全体としての表現を考えて構成すべきだと僕は思います。特に、優れた楽曲ほど。
「その部分の表現は、全体の音楽のどんな表現へとつながっているのか?」
まさに「木を見て森を見ず」の演奏・審査が多いなぁ、と思うのです。

5小節目からは低音からのメロディを立てるために他の要素のcresc.は抑えます。が、全体としてのcresc.を作り出すのに必要なcresc.は必要。8小節目でユニゾン化するために7小節目は一気にcresc.します。
incalzandoのテンポアップは僅かながらします。特筆すべきは、“休符でもincalzandoをつづける”と言う事。休符でブレイク感を出し過ぎると、incalzandoの急き立てる感じがなくなってしまって(E)の前の“間”が活きません。

(E)
頭の4分休符はあくまでインテンポで、決してフェルマータ的にせずに演奏します。D7b5/F#の和音はmolto tenutoで、Dユニゾンの3連符はマルカート目に、つづくユニゾンの動きはtenuto accentoでGの伸ばしは深い音で長めに。と言う風にここまでだけでも3つの表情を出します。2小節目頭が8分音符で切れるパートは3連符の音形と整合を取ります。
3小節目の再スタートは隙間があかないように。あらたに入るパートは十分鳴らしたf(フォルテ)でよいのですが、その前も演奏している金管・弦はユニゾン感を損なわないよう弱めのほうがバランスが取りやすそうです。4小節目2拍目まではmolto pesanteですがそれ以降は流れを重視し、(F)まで自然な流れでrit.します。
(F)からはテンポが速くなりますのでエネルギーを溜めるようなrit.をすると、「発車!」みたいに中間部が始まってしまうのでエネルギーがふわりと抜けていくようなrit.を心がけています。(C)よりも速いテンポなのにも着目しています。

まだまだ続く…と思う

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