ニュルンブルクのマイスタージンガー
言わずと知れたワーグナーの楽劇。
10年以上も昔、生でこのオペラを観て大感動したのを覚えています。
その後ビデオで観たときに1幕があまりに退屈で途中でやめちゃったことがあります。
演出がダメだったのか演奏がダメだったのか、兎に角生で観たときの印象とは段違いだったのです。
出演者も演出も誰だったのか記憶にありませんが…
今回オケで前奏曲をやるので、久しぶりに観てみました。
この前奏曲は単独で演られることも多く、幾度も演奏してきた思い入れの強い曲ですが、今回全幕を観てまた印象が深くなりました。
わざとメジャーではないものを選んだつもりですが、これが大当たり。
舞台上演を収録しただけでなく、場面ごとの撮影も含まれるようです。
まあ、映画的とでもいえましょうか、兎に角分かりやすいし、親方たちが可愛い&カッコイイのです。
前奏曲のモチーフ一つ一つが愛すべきものに思えてきて、あらためて名作だと感じ入りました。
それにしてもこの曲、まだ野球少年だった中学生の頃に大いに“ハマった”曲なのです。
僕が初めて買ったオーケストラスコアはドビュッシーの「交響詩《海》」、チャイコフスキーの「交響曲第4番」と、このワーグナーの「楽劇ニュルンブルクのマイスタージンガー前奏曲」
ウォークマンもiPodもなかった時代、中学生の僕はスコアを見ながら頭の中のレコードを聴いていたのです。
今よりももっと音楽が貴重で輝いていた時代。
たかだか30年ほど前の話ですらそうなのですから、もっと昔は、本当に音楽は大切な大切なものだったんでしょうね。
その頃僕は横浜に行く機会が多く、相鉄線という私鉄を使っていました。
急行列車は、二俣川駅を過ぎると横浜までノンストップ。
そこで暇つぶしによくマイスタージンガー前奏曲を聴いていました。
二俣川駅でドアが閉まると同時に頭の中のレコードの針を下すのです。
♪~じゃーんじゃーんじゃ、じゃーん
とCdurが鳴り、列車は走りだします。
親方が登場し、歌い上げ、青年騎士の愛のテーマが流れ、3つのメロディが同時に登場する見事なオーケストレーションを過ぎ、再び堂々とマイスタージンガーのテーマが現れると間もなく横浜。
最後のコードが、
♪~じゃん!、じゃん!、じゃん!
と3回鳴り響くと、
「よこはま~、よこはま~、・・・」
でドアが開く。
その頃繰り返し聴いたカラヤン&ベルリンフィルの演奏がきっと時間的にぴったりだったんでしょうね。
慣れてくると、
「あ、あの工場が見えたから今日のテンポは速いぞ」とか「ああ、この駅を過ぎてまだ中間部では遅れてるぞ」とか考えながらテンポの調節をしたりして。
今考えると、なんて安上がりな暇つぶしなんでしょう
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