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2013年1月 8日 (火)

有元利夫 天空の音楽

新潟の美術館で有元利夫展を見た。
233hanafuruhi
海の近くのこの美術館を訪ねるのは実に7年ぶり。
氷のような雪の降る中、シンプルな建物は静かにそこにあった。

実はこの7年の間数回ここには訪れている。が、運悪くその悉くが閉館日だったのだ。

有元利夫の作品は何となく知っていた。
不思議な構図と女性の不思議なデフォルメ。

そして、音楽との接点。

38歳の若さで逝ったのは夭折としか言いようがないが、どこかやはり大好きな一世代前の作曲家矢代秋雄を思い浮かべる。
彼らの基本的なエクリチュールは、古典的な其れであり、しかしそこから生み出される作品は新鮮で斬新で鮮烈で、独自のマチエールを持って描かれている。
そのマチエールは決してそれ自体は強く主張せず(有元は紙やすりであえて削っている)しかし、感じずにはおれない。

有元の印象的な言葉はいくつもあるが、子供の頃の音楽の授業を語った文章がある。
要約すると、「音楽の鑑賞の授業で教師にベートーヴェンの音楽についての口述を求められ「じゃじゃじゃじゃーん、という音楽です」と答えたところ火のように激怒され、それ以来僕はクラシック音楽が大嫌いになったのです」、という話。
芸大に学びながら音楽家の学生とも交流を持った彼はバロック音楽に強く興味を持ち、数曲作曲までも試みているのだから、結局は音楽好きだったわけだが。

僕も中学生の時、似たような経験がある。
その授業で教師はムソルグスキーの「はげ山の一夜」のレコードをかけた。
そして、「この曲を聴いた感想を絵で描きなさい」と言う。
僕は拙いのはもちろんながら、激しく嵐の海に揉まれる船の絵を描いた。

レコードが終わると教師はある生徒の絵を紹介した。
枯れ木がところどころに不気味に立つ寒々とした山の頂で、グロテスクな化け物(?)達が踊り狂っている絵だった。
「よく描けています」
といった後にもう一枚の絵を広げた。
僕の絵だった。

僕は誇らしかった。
きっと素晴らしい、とほめてくれるに違いない、と。
しかし、教師はこう言った。
「残念ながらこの絵は不正解です」

この時受けたショックは忘れない。
「正解ってなに?」
曲は言わずもがな、はげ山の上で踊り狂う魔物たちを描いた曲である。
だが、当時の僕はもちろんそんなことは知らない。
かなりの生徒が「はげ山の絵」を描いていたことから想像するに、みんな何かで情報、或いは題名を知っていたのだろうか。

こんな授業が今でもあるのかと思うとゾッとする。

世にクラシック嫌いを数多送り出してどうしようというのか。

ちょっと脱線したが…
とにかく有元さんの絵はどこか懐かしく、楽しく、そしてホンの少しだけ、恐ろしかった。

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