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2014年3月

2014年3月31日 (月)

量子力学と女子高生

去年の春に委嘱を受け、「シュレーディンガーの猫」と言う曲を書いたのです。

ミュージカルも含めた他の作品と同時進行、それと芸術祭参加作品の準備と言うキビシイスケジュールの中書いた思い出深い曲です。
(既出ですが、東京シティフィルとオルフ祝祭合唱団と共演した「カルミナ・ブラーナ」と「グロリア」、2013年の文化庁芸術祭大賞いただきました!ありがとうございます)

レコーディングは昨年のうちにプロの吹奏楽団によって行いました。
「バンド維新2014」CDとして発売中です。
自作の他、新実徳英さんの曲も振らせていただいています。

で、何をくどくど書いているか、と言うと…
大きなイベントであるにもかかわらず、なかなか世間の耳目を集めるに至らず…と言うのに内心業を煮やしている、と。
で、何に一番業を煮やしているかと言うと、「すごい作曲家たちの中に俺がいる!」と言うことに誰も驚いてくれないから、なのです。
だから自分で書く、と言うワケです。

何を隠そう、子供の頃からかなりの現代音楽好きです。
日本の作曲家の大先輩たちに魅かれ憧れ焦がれてこの道に進んだ…という側面もあります。
もちろん、僕自身は作曲家になるべくしてなった、そのために勉強を重ねた、とは言い難いのですが…

兎に角、憧れ続けた作曲家の方々。
柴田南雄、高田三郎、別宮貞夫、黛敏郎、芥川也寸志、矢代秋雄、間宮芳生、松村禎三、湯浅譲二、武満徹、南安雄、湯山昭、早坂文雄、伊福部昭、三善晃、木下牧子、糀場富美子、西村朗、新実徳英…

初めて聴いた矢代秋雄の「交響曲」に心奪われ、同カップリングだった三善晃の「交響三章」にも衝撃を受け、それから数々の日本の作曲家の作品を聴き漁りました。
しかしまあ、当時ほとんど日本人作曲家のレコードなど自由に手に入りはしなかったのです。
そのうえレコードを買い込む金も無く…

そんな中で特に魅かれたおフランスの香り。
とはいうものの、作曲家になるための道筋など知らず、また知ろうともせず、ただ独学で音符を時たま綴るのみ。
やがて演奏家を目指して音楽大学に入ることになるのです。

しかし!
そこでとうとう目の当たりにする憧れの作曲家たちの作品、楽譜、演奏、そして、ご本人!
友人の手伝いに託けて何度も尋ねた西村朗先生の演奏会。
押しかけてレッスンしていただいた日本のブーランジェ有馬先生。
目の前で足が震えた伊福部先生。
三善晃の正統後継者だ、と目してやまない新実徳英先生。
江古田の飲み屋で偶然隣になって閉店まで話した松平先生!
そのほかにも山のようにエピソードはあるのですが、それはまた別稿で。

閑話休題

2014年3月に行われた「バンド維新2014」
日本の作曲家の中から「吹奏楽」のジャンルのみにとらわれずに活動する作曲家を8人選んで「吹奏楽」の新作を発表する音楽イベントです。
小編成で、しかし、価値のある作品を創り出す、のが目的のこの企画。
選ばれた作曲家は、提唱者でもある北爪道夫さんを筆頭に、

服部克久
西村朗
新実徳英
村田陽一
高昌帥
挟間美帆
西村友

の8人。

なぜこの中に僕がいるのか、は聞きたくても僕本人も聞けません。
ただ、「音楽に注目していた」と聞いて嬉しく落涙…
しかしまあ、興奮のラインナップ!

北爪道夫先生はもちろん日本を代表する作曲家のひとり。
吹奏楽の作品でも何度も演奏しています。
今回の作品も素晴らしかった!
来年どこかで演奏するつもり。
で、服部先生ですよ!あの!
西の宮川泰~彬良vs東の服部克久~隆之でもちろん何度も聴いていますし、まあ現代ポップな音楽シーンの紛れもないドンの一人。
そして西村朗先生。
ケチャ、レゴン、ティンパニ協奏曲、ヘテロフォニーの作品群…まさに憧れのアイドル!
この人なしに日本の音楽界は語れない!
同じく新実徳英先生。
前述のとおりやはり憧れの作曲家。
この方も音楽界の既にレジェンド。
そして今回の録音では指揮もさせてもらいました。
シンプルな中に味がありまくる!まさに珠玉の名作。
こういう作品は100年残るに違いない、と心から思ったのでした。
村田陽一さんはトロンボーンのトップ奏者。
多くの作品も作っていますが、とにかくこの世界では第一人者。
この人に憧れてトロンボーンを始めた人もプロの中にも数多く。
高昌帥さん。
吹奏楽の作品を数多く指揮する中で「ああ、この人は本当の天才だ」と思える作曲家は決して多くはありません。
その中でも以前から注目していて、作品自体も大好きなこの人。
いつか絶対に会いたい、と思っていたらこんな形でお会いするとは!
飲み会でも話が尽きず、何度でも会いたい、同年代の新たな友人になりました。
作品もまさに脱帽。
伊イサンの作品の話ができるなんて、幸せでした。
「僕は友さんの曲が一番だったと思います」と言ってもらえたこと、一生の宝です。
5月には大阪市音で高昌帥さんの曲を振ります。
挟間美帆さんは新進気鋭のジャズイディオムによる作曲家。
ニューヨークを本拠に活動しているそうです。
失礼ながら作品には今回初めて触れましたが、これまた天才。
「ああ、やられた!僕もこんな曲を書きたかった!」と思ったのでした。

皆さんと言った飲み屋で話したあんな話やこんな話。
ふか~い音楽の話から音楽家のゴシップネタまで。
デュティーユの楽屋エピソードやルトスワウスキーの話、果ては矢代先生や三善先生の極近しい人しか知らないいろんな話。
ああ、恐悦至極!

この驚きと喜びの興奮を何とか伝えたいのです。
わかってほしいのです。

例えて言うなら…
「王貞治と長嶋茂雄とイチローとダルビッシュと一緒に野球をする感じ」

バンド維新で作曲家によるレクチャーと演奏会初演を行うのは音楽都市浜松の、さらに選び抜かれた中高生たち。
全国にも聞こえる学校ばかりです。
僕の曲を担当したのはやはり浜松でも一二を争う強豪校。
上手だし、一生懸命で素敵なみんなでしたが、この例えだけは理解してもらえず…
さらに、
「シュレーディンガーの猫」の量子力学の仮想実験の説明もなかなか理解してもらえず…
でも、音楽の話とリハーサルは本当に見事にうまくいきました。
先生、みんな、本当にどうもありがとう!

「シュレーディンガーの猫って、あの量子力学の?」
「そうです。でも物理学の話、女子高生たちに通じるかなぁ…?」
「シュレーディンガー方程式って波動方程式だね。きちんと説明すればわかる…かもしれないね。」
そんな会話を楽屋で新実先生と交わして、リハーサルへ。
リハを終え楽屋に戻ると僕の席上に一枚の紙。
紙上には細かい数式がズラーッと。
「いやぁ、昔のことなので覚えていないと思ったけれど、案外書けるね」
さすが東大工学部…って、普通の人は絶対書けませんよ!
シュレーディンガー方程式なんて!

新実先生!

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作曲家として

作曲が好きです。

諸先輩方を差し置いて、エラそうなことを語るつもりは毛頭ないのですが…
しかし、頭に浮かぶ音楽を描きたい様に書ける、これって本当に幸せだと感じます。

僕の作曲作品は基本的に全て「東京ハッスルコピー」さんに預けることになっています。
ハッスルコピーはもちろん、この業界では知らない人はいない楽譜のエキスパート。
オケやミュージカルやレコーディングはもちろん、とにかく現場で一番出会うのがハッスルコピーさんの楽譜。
この何年かで出版譜にも意欲的に取り組んでいるようで、僕の譜面もいくつか出版されています。

  • PRAYER(吹奏楽)
  • パガニーニの主題によるヴァリエーション(吹奏楽)
  • Star Dust Menuet(ソロサックスと吹奏楽)
  • Con Fioritura(吹奏楽)
  • シュレーディンガーの猫(吹奏楽)

等々、吹奏楽の譜面が発売され、

  • Star Dust Menuet(A.Sax.+P.f.)
  • ひまわり(A.Sax.+P.f.)
  • ひまわり(Eup.+P.f.)
  • Sax Duo "Plyers"(S.Sax.+A.Sax.+P.f.)
  • Phapsodie pour Saxohpone(A.Sax.+P.f.)
  • Polonaise Brillante(Eup.+P.f.)
  • Pop Dance Suite(A.Sax.+P.f.)
  • Flute Spring(Flute Quartet)
  • Flute Summer(Flute Quartet)
  • Flute Autumn(Flute Quartet)
  • Flute Winter(Flute Quartet)

等、室内楽も続々…

いくつかは発売されていますCDで聴くことができます。
今後も吹奏楽や室内楽が出版される予定です。

とりあえず次は、ミュージカル「銀河鉄道の夜」のヴォーカル譜。
そして、吹奏楽版と、なんと本公演の小オーケストラ版もレンタル譜にて販売開始することが決まっています。

作曲は本業に非ず…
なんて逃げていましたがもうそれも能わず…

作曲家として、きちんと向かい合うべき時が来たようです。

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2014年3月30日 (日)

近況報告、続・船に乗れ!

なんとまあ、更新の滞っていることでしょう!

いろいろありました…

やはり大事件は、皆様も知っての通り「アトリエ・ダンカン」さんの倒産…

昨年12月の「船に乗れ!」
交響劇、と銘打って、既存のミュージカルとは一味違う、クラシック音楽をフューチャリングした「交響劇」
いろいろ苦労しました。
楽譜、アレンジ、作曲、オケのリハに人のあれこれ、そしてもちろん、指揮。
(それとちょっぴり演技も)

しかし、やっぱり素晴らしい本番を、初日を、千秋楽を迎えることが出来て、本当に幸せでした。

しかし、今年に入ってからはっきりした残念なニュース…

僕のギャラもすべて飛んでいきました。
そこそこ大きな額なのですが…

大ショック!大打撃!のはずなのに案外一晩寝たらケロッとしている今日この頃。
これを書きながらふつふつと哀しみが復活してきましたが…
まあ、それでも池田社長にはうらみはありません。
むしろこれまでやってきた数々の大切な舞台、そして真摯に良い舞台を作ろうとしてきたその姿勢を尊敬しています。
再起を期待し、応援しています。
僕にできることがあれば、何でも力になります!

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