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2016年1月 1日 (金)

ウンウントリウム、或いは原子番号113

2015年も押し詰まった12月31日、驚くべきニュースが飛び込んだ。
原子番号113の元素「ウンウントリウム」の命名権が認められた!と言うのだ。

原子番号1の水素原子。
水素原子には1個の陽子がある。

原子番号2のヘリウムには陽子が2個に中性子が2個。

原子は、基本的には原子番号の数字の数の「陽子」があり、「中性子」と共に「原子核」を形成し、その周りを「電子」が回っている。

ウラン(ウラニウム)の原子番号は92
放射性元素の代表格。
一般に放射性元素は放射線を放出しながら崩壊し、他の物質へと変化する。
物質によっては幾度もの崩壊を繰り返し、より安定な物質へと移行する。

原子番号92のウランより数字の大きい、つまり重い元素は放射線を出して核種を変化させる。
そしてそれらの時間(期間)は地球の今までの年齢よりも短い。
と言うことは、当然自然界には存在しない、となる。
(ちなみに、テクネチウム、プロメチウムらのいくつかの放射性元素も、原子番号は92よりも小さいながら、半減期がどの同位体も短いため自然界には存在しない)
つまり、原子番号92より重い物質は、「人工的に作られた物質」なのである。

簡単に言えば、「原子番号92のウランを二つ合体させれば陽子が184個になり、原子番号184の未知の物質が出来上がる」、のだが、そんな簡単に事は運ばない。
苦労の末に様々な物理学者や科学者たちが実験を繰り返し、理論的に予想される物質の生成を試みた。
「サイクロトロン」のような陽子加速器の登場でその実験は大きく歩を進めることになるが、原子番号113の「ウンウントリウム」もそんな「新元素」のひとつ。

「どんどん大きな(重い)元素を作り出すとして、いったいいくつまで物質は作られるのだろう?」
原子番号が137よりも大きくなると、内部の電子のスピードが光速を超えてしまう。
だから原子番号137が物質の限界、と言うのが、かの「ファインマン」の説。
だが、原子番号173では電子殻がそれまでの形を維持できず、相変異が起きる可能性があること、或いは、電子軌道のエネルギー準位の変動が起きる可能性、など様々な可能性が議論され、その答えはまだ見えない。

ともあれ、IUPAC(国際純正・応用化学連合)の2015年12月31日の発表によって、日本の理研の「命名権」が認められた。
アジア初の快挙!で、「ジャポニウム」「リケニウム」など様々な名前が検討されているようだが、1908年に一度「ニッポニウム」と言う原子番号43の物質が命名されそうになったことがある。
この時は残念ながら、実験結果に誤りがあり違う物質だったために、違う名前が採用された。

「ウンウントリウム」と言う仮の名前に新しい、日本が命名した名称が付く。
これはもちろん嬉しいことだが、それによって一般の人が興味を持つ、と言うのは淡い期待のような気がする…

とかくこのような基礎科学の分野は風当たりが強い。
「新しい物質が出来たからって何が出来るの?」
「それでどんな商売ができるの?」
「宇宙の秘密を紐解いて、それが何になるの?」

ともあれ、この話題によって、とってもお金のかかるスーパーコンピューターや高速加速器などの高高度の最先端技術開発が、少しでも一般の人や政治家に理解してもらえたらなぁ、と一般人物理好きの僕は思うのである。

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