« 失態… | トップページ | ブリッツ定期演奏会 »

2016年5月26日 (木)

バルセロナの夜、ではなく浜松の夜

浜松で開催された「バンド・クリニック」にお邪魔した。
「バンド・クリニック」とは、以前は伊勢志摩の合歓の郷(ねむのさと)で行われていた、吹奏楽を中心としたミュージック・キャンプである。
開催母体であるヤマハのお膝元、浜松で開催されるようになって約10年だそうだ。
 
世界各地で音楽フェスティバルは行われており、日本でも大小様々な催しがある。
吹奏楽の音楽祭はそれほど多くはないが、その中でも最大級のものがこの「バンド・クリニック」らしい。
 
プロの楽団、演奏者、指揮者の他、アマチュアの有力団体や指導者も講師として名を連ね、オーケストラの育成方法や運営の講演、指揮法やレパートリーの研究、そして奏法や実際のコンサートなどが行われている。
 
また、楽譜出版社やレコード会社、音楽大学やプロ楽団、楽器店の展示や試奏のブース、なども立ち並び、お祭りに彩を添えている。
 
僕は作曲家としては「ハッスル・コピー」という老舗の出版社にほとんどの作曲作品を預けている。
このイベントに合わせて数曲発売する楽譜があり、僕と丹生ナオミさんの二人が引っ張り出されたのだ。
そこで、非公式の質問コーナーと指揮法アドバイスをやった。
 
何組かの希望者に曲の解説や指揮法講座をしたが、ほとんどは丹生さんと共に楽しく過ごしただけ。
大勢の友人や先生方とも邂逅を果たすことが出来て、とても楽しかった。
さらには、近所のホールでは、前回は僕が指揮をした「浜松子供ミュージカル」の稽古と、ジュニアクワイヤーの練習にも顔を出し、懐かしい顔ぶれにも出会えた。
そして、昼も夜も美味しいものを食べ、呑んで、全く贅沢な話である。
 
しかし、レセプションには顔を出さず、あちこちで自主開催されている分科会にも参加しなかった。
気取っているわけでも疲れているわけでもない。
いじけているわけでも蔑視しているわけでもない。
ただ、大勢と交歓する気にちょっとなれなかったのだ。
 
話したい人は山ほどいて、話したいことは海ほど深い。
素敵な人たちの楽しい話は、とっても魅力的なのに…
ただの近況報告が自己顕示になり、そこに参話する自分が許せなかったのもある。
目的のない議論、論点の曖昧な自己主張、と対峙するのが怖かったのもある。
そして、なぜかとっても寂しい気持ちと悲しい気持ちになってしまったのだ。
 
そんなわけで数人と、しかしとても楽しい酒宴をともにし、最後は行きつけのバーにしけこんだ。
一杯だけのつもりが「コーヒーリキュール7酒の飲み比べ」までやってしまって千鳥足。
友人をホテルまで送った後、少しだけ歩いた。
 
「バルセロナの夜」と「エトランゼ」と言う曲が耳の奥でずーっと鳴っている。
ほろ酔いで歩くと、雲の合間から月が見えた。
 
異国気分で歩いている。
そしてずっと考えている。
 
僕のやりたい音楽は、どうやったらできるのだろうか。
誰と、何処でやればいいのだろうか。
ずっと一緒に彼と、彼女と、音楽をやりたいのに。
僕は何になりたいのだろうか。
僕は何になるのだろうか。
 
ほかにもいろいろ考えたけれど、答えなんぞは見つかるはずもなく、ホテルにも帰りあぐねてただただ、歩いた。
 
今一つ自分にできるとしたら、
「信じて積み重ねる」
それだけのような気がする。
 
今も昔もこれからも、自分にはそれしかできない。
明日死んでも悔い無いように、今を精一杯生きる。
 
分厚い雲の向こうで、月は輝いている。
 

|

« 失態… | トップページ | ブリッツ定期演奏会 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

初めまして。洗足学園での課題曲クリニックの動画を拝見したものです。自分も学生時代には吹奏楽で打楽器をやっておりました。
現在は音楽とは関係の無い仕事をしていますが、趣味として打楽器の練習や毎年の課題曲を取り寄せたりしながら音楽を続けています。
最近は吹奏楽の作曲を始めましたが、行き詰まる事が多く西村さんに色々と教わりたいです。朝日作曲賞の応募を考えています。課題曲クリニックの動画を何回も繰り返し見ましたが、身振り手振り時には芝居も交えながらの合奏とてもわかり易く演奏者側にとても伝わりやすい表現だと思って見てました。なかなか言葉だけだと伝わりにくいこともありますので。もしよろしければメールにて返信頂ければ嬉しいです。失礼しました。

投稿: 吉村 優介 | 2016年6月 2日 (木) 20時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バルセロナの夜、ではなく浜松の夜:

« 失態… | トップページ | ブリッツ定期演奏会 »