バロック・ホウダウン、或いはエレクトリカル・パーレド
ディズニーランドの「エレクトリカル・パレード」
聴けばみんなが知っている、あのメロディ。
初演はアナハイムのディズニーランドで1972年。
それから、世界中の様々なディズニーパークで現在まで必ずどこかで公演されているんだそうです。
テーマ曲の「バロック・ホウダウン」はガーション・キングスレイとジャン=ジャック・ペリーの二人による作品で、1967年に発表されたもの。
1967年!!
~閑話休題
時は1989年の暮れ。
「この曲を次期定期演奏会のアンコールに演奏したい!」
「耳コピしてアレンジしてほしい!」
と依頼してきたのは神奈川県にある北里大学吹奏楽団の学生責任者のY君と指揮者のM君。
今でこそ耳コピは得意技の一つですが、当時の僕はまだまだ若造。
彼らとともに、ウォークマン(カセットテープ!)を何度も何度も巻き戻して聞きながら、街道沿いのファミレスで少しずつ楽譜に起こしたのを思い出します。
何時間も、うんうん唸りながら。
ギャラは確かハンバーグディナー。
ようやく書き上げた手書きのスコアから、みんなで手分けしてパート譜を写譜しました。
そして、翌年のコンサートでアンコールに演奏し、なんと今まで約30年、毎年必ず演奏してきました。
その初演の日。
ホルンのYちゃんの楽譜を見ると題名が「エレクトリカル・パーレド」
…「ぱーれど」??
そう、音引き線の位置がちがうのです。
おばあちゃんがやってる古い駄菓子屋や、おじいちゃんがやっている古い海の家で時々見かける、
「冷やしコーラー」とか「ラメーン」と同じ匂い。
天然少女のYちゃんらしいミスでした。
当時、腹を抱えて笑って、みんなこの曲を「パーレド」と呼ぶようになりました。
そして、なんと今でもそう呼ばれているのです。
さて、2004年に著作権のハードルを越えて、このアレンジ譜は出版されました。
しかし、出版元の音楽事務所の閉鎖に伴い、この出版譜は幻の楽譜になりましたが、コピーされてあちこちに出回っているようです。
今年、2020年。
コロナによって全員による合奏はいまだできず、11月の定期演奏会も延期を余儀なくされた北里大学吹奏楽団。
学生たちは苦しい中で、文字通り暗中模索しながらそれでも何とか活動を続けています。
その学生たちからの希望もあり、またその情熱に応えたくもあり、初演から30年経って新しいアレンジを作成しました。
一見無謀に見えても、不可能に思えても、アイディアと情熱とがあれば案外何とかなるものです。
守りに入っているつもりはないけれど、あのチャレンジ精神をちょっと忘れていたかもしれません。
いつだってちょっと背伸びした先に成長があるのです。
困難や挫折や逆境の向こう側に、次のステージが待っているのです。
もう一歩、半歩でいいから、前に進みます。
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